CIAの旧本部ビルのメインフロアにカフェテリアと並んでスターバックスがある。ここは休みなしの24時間営業で、行き先のないカフェイン中毒の客で溢れる世界で一番繁盛している店との評判だ。
しかしここでは順番を待つ間、見知らぬ人とおしゃべりするのは具合の悪いことだ。あなたが話しかける相手は「なぜ彼は私に話しかけるのかしら? 何が目的なの? 彼の待つ列の情報が欲しいのかしら?」などなど、あたかもあなたが二重スパイかもしれないと自問自答するよう訓練されているのだ。
このように日常の出会いが仕事モードとなり、親しみやすい労働環境とはほど遠い。それでも社会から距離を置くという目的は達している。
分室化は厄介で仕事が遅くなるが、よく機能する。近年の秘密情報の漏洩で最も痛手となったものはチェルシー・マニングとエドワード・スノードンによるものだが、CIAのファイルではなかった。マニングの情報は国務省、スノードンの情報はアメリカ国家安全保証局(NSA)のものだった。CIAは過去に内部スパイにより被害を受けたことがあり、将来もあると思うが、全般的に見て、諜報共同体内の他の省庁と比べ秘密保持はよくできている。