我々人間界には絶えることのない争いが存在しています。争いが生じる主な根源には、1.人種・民族の差別、2.宗教の存在、そして3.主権国家の存在、の三大根源があります。これらがなぜ争いを創造するのか、そしてどうすれば人間界から争いを追放することができるのかについて思いをめぐらします。
科学の厄災化
1.科学の非平和的使用
科学の非平和的使用の最たるものには、人間殺戮器である(1)核兵器と(2)通常兵器があります。
(1)核兵器
②核兵器の恐怖
第二次世界大戦後のアメリカを中心にした西側とソ連を中心にした東側の緊張は、1962年のソ連によるキューバへの核兵器配備画策に代表される一触即発の状況にまで高まったこともありました。核兵器を持たない主な西側諸国は、それらの諸国が核攻撃を受けた場合はアメリカが代わって核報復をする、というアメリカの核の傘に入ることで自国に対する核攻撃が抑止されるという構図に依拠することになりました。
核を導入し、西側と東側のお互いがその威力を相手方へ投影し合い、恐怖し合っている愚かで嘆かわしい構図です。自国が開発した核兵器ではありませんが、ニュークリア・シェアリング(Nuclear Sharing)という核抑止における政策上の概念が生じ実施されています。
ソ連やその衛星国に配備された核兵器に対抗するため、北大西洋条約機構(NATO)の内のドイツ、イタリア、ベルギー、オランダは自国内にアメリカが所有する核を置いていて、各国の政府がそれぞれ使用権限を持っています。(フリー百科事典ウィキペディアより)
第二次世界大戦後四半世紀以上が過ぎ、ソ連も中国も、共産主義という名目は保ちながら、実質的には資本主義経済を採り入れています。ソビエト連邦は1980年代半ば以後ソ連社会主義の改革を目指しゴルバチョフがペレストロイカを展開し、1991年のソ連邦崩壊で終わっています。
ソビエト連邦の幾つかの国は遊離して独立し、ソ連はその国名をロシア連邦に改名しています。その間、中国が経済や国際政治で台頭し、第二次世界大戦後のアメリカとソ連の二局化世界という明確な枠組みは薄まり、経済活動のグローバル化と相まって、世界の緊張は緩くはなりました。
しかし、西側と東側という大きな枠組みが消滅したわけではなく、その枠組みに由来する国際間の紛争が消滅したわけでもありません。紛争が存在する以上、核に拠り相手の核の使用を抑止するという要求が消滅したわけではありません。又、近年には、北朝鮮による核武装に対する懸念も世界を覆っています。