「よっ! 朝からたのしそうじゃん?」
ムッチーも、ニヤニヤしながら近づいてきました。
「おれたち、きのう、すごい家、見つけちゃったんだよな~」
とたんにヒロユキは、めがねをポケットにつっこみ、かおをまっ赤(か)にして、うつむいてしまいました。ヤマトは思わず、『やめろっ!』と、こころの中でさけびました。しかしレオは、わざと大きな声で言いつづけます。
「ほら、町はずれのゴミおきばでさぁ~」
するとクラスのみんなが、あつまってきました。
「なになに? ゴミおきばが、どうしたって?」
「すごい家って、なんだよ」
レオはとくいそうにむねをはって、ヤマトのかたを、ポンとたたきました。
「な? ヤマトも見たよな?」
ヤマトは、あわててヒロユキを見ました。うつむいたヒロユキが、くちびるをかみしめ、目をしょぼしょぼさせているのがわかりました。
「なぁ、レオ?」
とうとうヤマトは、こぶしをにぎりしめ、ゆっくりとレオのほうにからだをむけました。
「レオは、だれかをエモノにするじぶん、すきか?」
そんなことを言うヤマトは、はじめてでした。