ユキチのめがね
「でも、人はちがう。みんな、ぼくに見られるのを、いやがるんだ。ぼくの目つき、きみがわるいって…。きみも、ぼくに見られるの、いやだろ?」
ヒロユキが、さびしそうに聞いてきました。
「そ、そんなことないよ!」
ヤマトは、あたまをふってみせました。
「草花をちゃ~んと見てあげて、その気もちがわかるなんて、すごいじゃないか!」
「ほんとに?」
それまで足もとばかり見ていたヒロユキが、ゆっくりかおをあげました。
そして、ヒロユキとヤマトの目が、ぶつかりました。
「うっ…」
ヤマトは、思わずうめき声を立てました。
ヒロユキの目は、やっぱりふしぎでした。
じっと見られていると、目の中に、すいこまれそうな感じがしました。
まるで、小さなブラックホールみたいな目です。