九、公共の交通機関を利用するには覚悟がいる
市内の交通機関は人力車・オートリキシャ・バスなどだが、中流階級以下は最も安いバスの利用が多い。都市によって料金が異なるが、コルカタのバスは2~4ルピー程度で、オートリキシャは10ルピー前後かかる。バスの運転自体乱暴だし、下層階級がバスを利用するためバスはかなり汚れている。コルカタには短い地下鉄が1路線あり、中流以上の家庭は地下鉄・オートリキシャを利用し、余裕が出てくるにつれてバイク・軽自動車を購入していた。軽自動車は中流家庭の年収(10~20万ルピー)以上になるため、それほど多くはない。上流階級になれば当然普通乗用車やベンツ(インド生産)になり、運転手付きの車を2台以上所有している家庭もある。
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①外国人が乗れないバスバスの運賃は遠距離でも10ルピー程度と安いが、インド人の中流階級ですら乗りたがらない。まして外国人が乗るのは無理だ。
運転手も車掌も制服などないし、着ている服は貧民レベル。冬場を除いては薄汚れたランニングシャツ一枚。コルカタでは車掌の補助にさらに汚い格好をした整理員(?)がいる。彼はバス停に近づくたびに行き先を怒鳴って客を集めたり、乗客の乗り降りの補助をしたりする。乗り降りの補助をするというと、老人や子供に対しての補助と思うだろうが、インドは全く違う。他のバスに乗客を取られないようにするためで、バス停でもバスは完全には停止せず、徐行しながら乗客を乗せるのだ。したがって乗客は飛び乗る格好になり、この乗客の腕を掴まえて乗り込ませるための補助をする。当然老人や子供は乗れないので、停まってくれるバスが来るまで何台か見送らざるを得ない。
何とかバスに乗り込めたとしても、英語は通じないし、運転は極めて乱暴。
2001年に行われた調査によると、バスの運転手の80%以上が交通ルールを知らず、半数近くは運転技術にも問題があるという。エアコンはないので、混んでくると蒸し風呂状態。窓にはガラスがなく、雨が降ってきたら木の雨戸を閉めるだけ。雨戸を閉めれば当然車内温度はさらに上がるため、よほどの激しい雨でなければ雨戸は閉めず、濡れたままで我慢している。乗務員を含めて乗客は下層階級が大半だから、車内の匂いは強烈で、気持ち悪くなる人も多い。市内を乗用車で走っているときに、何度かバスの窓から吐いている女性・子供を見た。
スリ・痴漢の被害にも遭う。事務所の女性も痴漢と不潔な環境を嫌って、バス通勤のほうが便利にも関わらず地下鉄通勤に変更した。自宅で雇っていたコックはバスで通っていたが、バッグの底をナイフで切られて財布を取られる被害に遭った。