ANOTHER NEW YORK

プロジェクト・ガールズ

ピーッ。ホイッスルの音に引き寄せられるように、私はQueensBridge(Q.B.)のプロジェクト敷地内に入った。小学生くらいの女の子たちがDoubleDutchをしている。

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2本の縄を交互に大きく回し、その間を一定のリズムに乗せて小刻みにジャンプする遊びだ。女の子たちは歌に合わせて足や手を器用に動かしている。ベビーカーに赤ん坊を乗せ、ベンチで一休みをしている若いママと目が合った。

“Hi.”互いに笑顔で声をかけ合う。

奥のベンチには、お年寄りたちが静かに腰をかけている。通り過ぎる人にたまに目を遣るが、まわりの様子にはさして関心がなさそうに、自分たちの時間をゆったりと過ごしている。

さらに奥に進むにつれて、ホイッスルの音が大きくなっていく。人々の歓声やコンクリートの上を走り回る軽快な足音がここまで届く。もしQ.B.を色にたとえるなら、プロジェクトや砂埃の茶色とコンクリートや工場から噴き出す煙の灰色。

だが、いま目の前にあるのは、色鮮やかに彩られたバスケットボール・コート。それが、このHoodを明るく息づかせていた。

Hood対抗のバスケットボール・トーナメントが開催されているようだ。審判やスコア係など、このトーナメントを主催している者の多くは10代から20代の若者だ。

主宰者らしきその女性は、無愛想な表情と鋭い目付きでまわりを威圧する。彼女の体格の良さは、遠くからでは一瞬、男性と見間違えてしまうほどだ。彼女は黙って試合を見守っている。

両チームのベンチには控えの選手やコーチが座り、選手たちに声援を送ったり、指示を与えたりしている。