京都議定書からの、パリ協定採択。
然るに、京都議定書は、(1)米国や中国、インド等の主要排出国が温暖化ガス抑制義務を負っていないため、世界全体の取り組みになっていないこと、(2)排出抑制期間が2012年迄という短期的な目標にとどまっていること、等の「ポスト京都議定書」問題が存在していました。(日本大百科全書ニッポニカ)
この問題を踏まえて、2015年12月に京都議定書に代わる国際枠組みとして2020年に始まるパリ協定が採択されています。この協定は批准した全ての国がそれぞれに排出削減目標を決めて国内対策に取り組み、5年ごとに検証することなどを求めていますが、実際に温室効果ガス排出量につながる具体的なルールは未定でした。
2016年11月に協定が発効した後も準備会合などが断続的に開かれて参加各国が一致して排出削減する方向への気運が高まっていましたが、その最中にトランプ米大統領が協定からの離脱を表明しています。(サイエンスポータルSciencePortalニュース速報2018年12月12日)
未定であったパリ協定の温室効果ガス排出量の具体的な実施ルールに至るまでの主たる隘路には、(イ)温室効果ガス排出削減目標について、過去に大量に排出して発展した先進国にはより厳しく、発展途上国には緩い実施ルールにすべきとの途上国側の主張と、今後途上国の排出量が増えるために途上国にも厳しい実施ルールにしないと温暖化は抑えられないとする先進国側の双方の主張の対立や、(ロ)発展途上国における気候変動費の資金問題がありました。
しかし、パリ協定の交渉期限になっていた2018年の12月にポーランドのカトヴィツェで開催された国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)において、先進国側から発展途上国側への気候変動対策資金の供与などを含む上記の隘路に一応の折り合いがつき、パリ協定の具体的な実施ルールについてのガイドラインが、その閉会日の12月15日に、採択されています。