つまり、焼酎を飲んでいる人がビールを飲んでいる人に「あなた、ビールは尿酸値によくないから飲まないほうがいいよ」と言うのは、「五十歩逃げた人が百歩逃げた人を笑う」のと同じ状況なのです。焼酎であっても油断は禁物です。
食品の中でもプリン体の多いものは、痛風患者にはよくないと言われます。確かにプリン体を多く含む動物の内臓をたくさん食べると尿酸値が上がります。でもプリン体は食品の旨みの成分でもあるので、プリン体を多く含む食品は美味しいのです。しかしプリン体は毒ではないので、たまに少し召し上がることは全く問題ありません。
1年ぶりにフグの白子を食べる機会に恵まれたのに、「私は痛風だから食べない」といって箸をつけないのは、私から見ればとっても滑稽な風景です。そんな滅多にないチャンスには、プリン体の旨みに舌鼓をお打ちください。
結局は食品の質の問題ではなく、食事の量の問題なのです。どの食品にも多かれ少なかれプリン体は入っていますので、食事の量が多ければプリン体の摂取量が多くなります。
例えば一日2000キロカロリー摂取すれば十分の人が、一日4000キロカロリー摂取すれば、体内に入るプリン体は2倍になる、逆に食事の量を減らせはプリン体は制限できることになります。お酒も同じ、ビールでも焼酎でも同じこと。質的制限ではなく、量的制限が大切であることをご理解ください。
痛風患者さんはメタボ体質の人が多いので、やはり食事制限は必要です。その場合に、美味しいものを少しいただいて、満足感を味わう。これがプリン体制限の秘訣です。
一年の締めくくりの12月を暴飲暴食で反省のひと月にするのではなく、健康を注意しながら新しい年に備える充実のひと月にしたいものです。私自身への自戒も込めて、皆様にもご注意申し上げます。