第2章 補助金の論理

2 補助金の必要性、正当性

補助金はなぜ必要か、経済学的回答

では、経済学の視点からはどうか。地方自治の制度の違いなどを捨象した、そして補助金Bも含めた回答はどうなるだろうか。

経済学の教科書は補助金についてほとんど触れていないが、公共経済学という分野では補助金について言及されている。例えば、理論経済学者である根岸隆は、『公共経済学』(有斐閣双書 1973年)の第3章「公共料金」で補助金の必要性について言及している。

根岸の論述は価格理論、限界費用価格形成原理を用いて公共料金の最適基準を説明する格調高いものであるけれども、経済学徒以外の人には専門的すぎるので詳細は略すが、「限界費用料金を原則とする最適な公共料金のもとでは、料金の収入が必ずしも費用のすべてをカバーしうるものでない」という。

そして「利用者全体として費用のすべてを料金のかたちでは負担しえないことがおこるのである。このような場合には、料金収入によりまかなえない費用は一般財政からの補助金にたよらざるをえない。すなわち、公的負担である〈※太字処理は庄司による〉」と書いている。

要するに、電気、水道などの使用料収入だけでは、その事業運営に要する費用がまかなえない場合がある。その場合、電気料金、水道料金などを簡単に値上げするわけにはいかないので、それは補助金という公的負担でまかなわれる、ということだ。