第2章 補助金の論理

2 補助金の必要性、正当性

補助金はなぜ必要か、行政学的回答

では、なぜ補助金は必要とされるのか。前掲『補助金制度論』の「補助金制度管見」で萩田は、補助金が必要な理由を二つ挙げている。

《第一に、現在のように税源が地方的に偏在している情勢の下においては、地方税では、各団体が、必ずしも、その経費を賄うに必要なだけの収入を上げることができない。故にそのような経費のために必要な財源の全部又は一部を国庫から補助金として別途交付する必要がある。これが、第一の理由である。

しかし、そのような国家的な事務についての財源として附与するという点からは、地方税だけでなく、現在のように交付税制度の存在するときには、補助金の存在理由は薄くなるのであるが、次に第二の理由がある。

それは、財源を地方税でも、交付税でも、一般財源として与えると、地方団体は、それを、必ずしも、その行政に使うことを好まないで、他の使途に当ててしまうから、結局、そのような国家的事務について、国の要請するような内容が確保できない。故に、与える財源を補助金という、使途を国が制限することのできる方法で与える必要があるということである。》