第二章 教育の目的は子どもの幸せ
(4)「はかない幸せ」と「自らの意志による幸せ」
私はまず、人が幸せを感じるときには、大きく分けて2つの種類があるのではないかと考えました。1つめは「はかない幸せ」です。
例えば、先ほど出てきたような、「お金をもらえた時が幸せ!」「自分が欲しいものを買ってもらえた時が幸せ!」といった類のものです。
これらを否定する気は全くありません。お金をもらったり、新しいゲームを買ってもらったりしたら、幸せを感じる人も多いと思います。しかし、この与えられるだけの幸せは一時的なもので長続きしないことが多いのではないでしょうか。
どんなにおいしいものでも、満腹になれば食べたくないし、更に差し出されたらかえって苦痛です。新しいゲームも同じで、クリアして飽きてしまえば買ってもらったときの幸せはなくなります。
常に環境によって左右されるものであり、幸せの感じ方が受け身です。更に、次から次へと湧いてくる欲を制御することができない限り、貪り食う「餓鬼」のように、むしろ心は貧しくなっていくのではないでしょうか。宝くじで大金を手に入れた人の全員が、その後決して幸せな人生を送ったとは言えないというのもそういうことでしょう。