第一章 インドを理解するための基本知識
一、インドは階層社会
⑤ 複数の宗教
インド人はヒンドゥー教徒だと思っていないだろうか。インドに関するデータはいろいろあり、どの数字が正しいか不確かだが、インドでいわれていたのは、75%がヒンドゥー教徒。他にイスラム教徒15%、キリスト教徒5%、ターバンを巻いているシーク教徒2%ほどで、他にジャイナ教徒、鳥葬で知られるゾロアスター教徒(パーシー)もいる。
75%いるヒンドゥー教徒は各自信仰する神様が異なっても対立することはないが、他宗教との対立、特にヒンドゥー対イスラムは厳しく対立しあっている。国家としては宗教の自由を謳っているが、カーストと同様実際の対立は解消されていない。宗教対立については、無宗教に近い日本人には理解できない深い溝がある。
⑥ インドの国語とは何だろう
インドを良く知らない方は、ヒンドゥー語がインドの国語で、ヒンドゥー語が話せればインド国内どこでもOKだと思われるかもしれない。これは大きな誤りだ。
元々ヒンドゥー語はデリー地方の言葉であり、各地方で話されている言葉は全く異なる。ムンバイ(旧ボンベイ)ではマラーティー語、チェンナイ(旧マドラス)はタミール語、コルカタ(旧カルカッタ)はベンガル語が話され、お互い通じない。しかも字も違うから筆談もできない。
中国でも北京語・南京語・福建語など地方語があり通じないが、漢字は同じなので、テレビ番組には字幕があった。