第2章 障害のある子どもの理解

⑵注意欠如多動性障害(ADHD)

原因と診断

ADHDの原因は、遺伝的因子と胎児期における親のアルコールやたばこ、低酸素と脳の虚血と考えられています。脳の前頭葉に損傷を受けると、不注意や多動などADHDの症状に似るといわれます。ADHDの人は神経伝達物質のドーパミン、エピネフリンの放出量が少ないとか、前頭葉の血液量が少ないということがいわれていますが、決定因子は不明です。

状態像としては「(勉強や仕事、活動に)集中できない」「整理整頓ができない」「忘れ物が多い」「失敗が多い」「自分の有利になるような行動がとれない」「落ち着かない」「衝動的な行動をする」「集団から逸脱する」「相手の立場で考えることができない」などです。DSM-5での診断基準は図1のように示されています。