第3章 世界のパラダイム
ビフォアコロナ アフターコロナ
4 多様性から普遍性へ
みんなが同じ価値観で、同じ目標を持って走ってきた昭和の時代から平成の時代に入り、私たちはそれぞれの生き方や考え方を尊重し合い、多様な価値を認め合う社会を築いてきました。しかし、多様な社会が、実はバラバラな社会に変質していきました。
最近の日本人は何が正しいのかわからなくなっています。多様性は非常に大切ですが、多様性は限りなく拡散し、現在では、先生が万引きし、警察官が飲酒運転をし、弁護士が人を騙し、検察官が法律を犯し、銀行員が横領する。
他人事だと思っていましたら、ある大手メガバンクの行員が、善良な取引先を巧妙に誘導し、顧客に多額の損失を与えていたことが発覚しました。信用においては最後の砦といわれる銀行が、あり得ない事件を起こしたことに、ほんとうにびっくりしました。
人を殺めることにも、その人の道理があり、オレオレ詐欺の加害者も悪びれた様子もなく、TVの覆面インタビューで堂々と「私たちにも生活がかかっている」という始末です。江戸時代に生きた日本人が聞けば、腰を抜かして驚くに違いありません。
「これがほんとうに日本人ですか」と。価値の多様化ではなく、もはや価値の喪失といってよいありさまです。