秋の夕暮れは瞬く間に闇夜となり、星空の下、集落に赤い火が点々と焚かれた。
一つの竪穴式住居に案内され、中で待機していた探検隊は、ユヒトに呼び出されて表に出た。
探検隊は、目の前に広がる光景に息を飲んだ。
先ほど踊り狂った広場には、巨大なござが布かれている。背の高いかがり火が、幾本も並び立っている。高さ二メートルほどのところで、音を立てて燃えている。周りの物はみな赤々と照らされ、濃い影が地に描かれている。
ござの上に、丸太を刈り込んで作った長い机が何列も引き出され、その上に大皿の食物が並べられている。木の実や葉っぱ、四つ足の焼き物、粉を固めた何か。不揃いな土器がいくつも置かれている。中に入っている液体――何であるかは分からないがおそらく飲み物――が、かがり火の光を受けてちろちろと光っている。
先程長老が集落の民に命じたのは宴の準備だったらしい。未知の若者を歓迎する長老主催の大晩餐会である。林らは恐縮し、案内するユヒトの後に従った。
広場にはすでに大勢の村人が集まっていた。昼の数とは比べ物にならない。多くの視線が向けられる中、探検隊は正面にあたる位置に通された。目の前の席には長老の他、集落の若い男子たち。ユヒトもそこに落ち着いている。
一同が席に着くと、村人たちは静まった。
長老が立ち上がり、大きな声で何かを言った。するとひときわ高い歓声とともに、みなが土器を手に持ち、中身を飲み干した。
たちまちおこる拍手、食器の音、談笑、笑い。
宴会の開始である。
村人が次々と探検隊のもとへやってきて、何やらぺちゃくちゃ話しかける。意味は何一つ解らないのだが、笑顔と身振りで、人のぬくもりが伝わってくる。