第二章 釣りもアレも人間は新奇好き
雌牛の切ない声に、牛の一突き
その年は四月に入ってよく雨が降った。この時期に降る雨は釣り師にとって嬉しい雨だ。
春先に多量の雨が降ると、山や畑や田んぼから沢山の植物性プランクトンが川へ流れ出し海へと注ぐ。それは海の動物性プランクトンの素になり、それを食べる魚が豊かに育つ。だから今年は釣り師にとっていい年なのだ。
ところで二〇世紀は女性解放の世紀であったが、果たして二一世紀は女が男を支配する時代になるのだろうか。
あり得ないことではないゾ、男は元々女の機嫌(きげん)を取るようにできておるから、レディーファーストに人権尊重が重なり、最早手に負えぬ状況になりつつある。
女は間違いなく強くなった、いや、強くなり過ぎておる。
一九九五年のベストセラーに、オリビア・セントクレア女史著『ジョアンナの愛し方』がある。ジョアンナとは女性自身・女性の中心部分のことである。
分かりやすく言えば、女性が書いた女のアソコの愛し方なのである。日本でも三〇万部以上の大ベストセラーになり、しかも読者の大半は女性であったという。
オリビア女史は、翌年次なるベストセラーを発表した。『ビッグ0』副題は、「もっと激しく、楽しく、美しく」『ビッグ0』とはビッグオーガズムのことである。この本はわずか二週間で二万部も売れたと聞く。
女性の解放とは、男女同権と男女平等の実践であった。これについて不肖朕茂短竿(ふしょうちんもたんかん)の私見(しけん)を言わせてもらう。
男女同権は分かるが、男女平等は理解し兼ねるのである。男と女は同じ人間であるから、同権である、このことにいささかの異論もない。しかしだからと言って平等ではない。男は子を産めぬし、子に乳をやることもできぬ。