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第一部 自分史とことわざ

(1) 自分史の効用

老化を予防し、若さを保ってくれる

自分史を書き続けることは、生きがいとなり、老化の予防につながります。そして、心の若さを保つ秘訣にもなるのです。

書くことが中高年の方々にとっての生きがいであるならば、それは思いがけない「棚ぼた」のような恩恵をもたらします。老化だけでなく、認知症の予防にも効果があるのです。笑いや楽しさが健康に良いのは言うまでもありませんが、自分史のように熱中できるものが一つあるだけで、脳は活性化し、若々しさを保つことができます。

自分史を書くには、過去を思い出し、忘れかけていた出来事を呼び起こし、文章として定着させる必要があります。これは心理療法の一つである「回想法」にも通じており、脳の働きを活性化させ、記憶力の低下を防ぐ効果があります。

脳は「考えること」でも活性化します。近所にTさんという方がいました。晩年、認知症を患い施設に入所されていましたが、囲碁を打つと、以前と変わらぬ強さを発揮されました。私の名前は忘れていても、囲碁の思考力はまったく衰えていなかったのです。記憶は薄れても、思考は保たれていた―、これは驚きでした。

囲碁と言えば、私も今では畏友のYさんや東京の次男と、パソコンを使って定期的に対局を楽しんでいます。年齢に関係なく楽しめるのが囲碁の魅力です。

そのほか私事といえば、足かけ二十二年にわたって「名東自分史とエッセイの会」に所属し、毎月一編の自分史を書き続けてきたことも、大きな支えだったと思います。自分史は、私の心身を支えてくれた終生の伴侶のような存在でした。そして、それを可能にしてくれたのは、会の仲間の皆さんの力です。

自分史を書くといっても、一人で部屋にこもって書くだけでは、なかなか続けるのは難しいものです。やはり、自分史を書く会やクラブなどの仲間とともに、励まし合い、助言を受けながら書くことが大切です。

私自身の例を挙げれば、二千字前後(原稿用紙五枚ほど)の自分史を書き始め、気づけばもう二十二年、毎月続けました。そして九冊の自家版を出版し、家族や知人に届けてきました。

もし時間と気力、体力に余裕がある方なら、長編の自分史を一気に書き上げるのも素晴らしいことです。ただし、それには相応の覚悟が必要でしょうが――。