それから一週間、ぼくらは毎日アムのところへ行った。そして七日目、とうとうアムが退院した。家に戻ってきたんだ。ぼくは嬉(うれ)しかった。何だか嬉しくて、ママやショウキにやたらとしゃべりかけた。

次の日の朝、いつものように起きるとすぐに、ぼくはアムの朝ごはんを持っていった。アムはもう起きていて、テラスでしっぽを振っている。

「アム、よかったね。元気になって」

アムは、入院前と変わらず、ムシャムシャご飯を食べ始めた。

ショウキが隣にやってきた。いつものようにしゃがんで見ている。あー、良かった! 前と一緒だ!

ごはんが終わって、ぼくはアムのお皿をかたづけるため台所に入った。戻ってくると、テラスの雰囲気(ふんいき)が、何だかいつもとちょっと違うような気がした。あれっ、何だろう?

何、この和(なご)んだ雰囲気。いや、華(はな)やいだ感じ? 変だぞ! こんなんだっけ?

もう一度、テラスに出てみた。ショウキがなにやら、ぶつぶつ話をしている。何? 何、独(ひと)り言(ごと)を言っているんだろう。気持ちの悪いやつだ。

そばに行って、ぼくは驚いた。ショウキは独り言を言っているわけではなかった。ショウキは楽しそうにお喋(しゃべ)りをしている。アムと!

アムは、ぼくがきたことに気がつくと、ぼくの目をじっと見た。「タイキくん、この度(たび)は大変お世話になりました。お陰(かげ)様でこの通り、元気になりました。これもひとえに、タイキくんとショウキくん、そしてママのお陰です」

ぼくは、驚いた!

「ア、ア、アムがしゃべったあ!」

信じられない。今しゃべったのはアムだ! アムがしゃべった! 

アムがお礼(れい)を言っている! それから、しばらく、ぼくは口が利(き)けなかった。深呼吸を何度かして、

「どういたしまして」

と、ようやく返事をした。

「タイ君! アム、しゃべれるんだよ。すごいね!」

ショウキにはことの重要性がわかっていないようだ。そんな感心している場合じゃないんだよ。

「アム、良かったね」

しばらくして、ぼくは何とかそう言った。

「タイキくん、私はもう大丈夫、元気です。本当にありがとうございました。今日はお礼に、タイキくんとショウキくんをどこでも好きなところに連れて行って差し上げます」とアムが言った。