怒らないようにしようと思っても、相手の言葉を軽く見られたと解釈していれば、怒りは立ち上がります。部下を信じようと思っても、任せることを品質が下がる危険と解釈していれば、手放すことはできません。

本音で話そうと思っても、本音を出すことを関係が壊れる危険と解釈していれば、口は閉じます。挑戦しようと思っても、失敗を自分の価値が下がることと解釈していれば、足は止まります。

だからこそ、変化の入口は、行動だけにはありません。行動の前にある感情を見ること。感情の前にある解釈を見ること。そして、その解釈に問いを差し込むこと。

ここに、人が変わっていく本当の入口があります。私は、このことに気づくまでに、長い時間がかかりました。

もっと早く気づきたかった。もっと早く、こうした見方を持ちたかった。もっと早く、若い頃の自分にこの考え方を伝えたかった。もっと早く、悩んでいた部下や同僚や仲間に、この問いを渡したかった。

その思いが、いまも私の中にあります。けれど、遅れて気づいたからこそ、書けることもあるのだと思います。

すぐに分かった人間には書けないことがあります。何度も失敗したからこそ、見えてくるものがあります。遠回りしたからこそ、誰かの遠回りに寄り添えることがあります。自分自身が迷ったからこそ、迷っている人を責めずに見つめられることがあります。

本書で私が伝えたいことの中心は、とてもシンプルです。