タクヤという男
1人目は42歳のメンズで、この人は始終、紳士的な人ではあったわね。
「自分は固い仕事をしているから、怪しい人間じゃない」って、自ら職場名も明かしてくれたりしてね。しばらくメールのやり取りをしていたのだけど、ずっとどこか上滑りで当たり障りのない内容ばかりで、じきにやり取りで行き詰るよーになってしまったのよ。
こちらもサイト利用初めてだから、メールのやり取りはするけど、彼が誘うよーには、すぐには顔合わせで会う勇気もなくてね。最終的には随分後になってから会って、向こうはあたしのことをとーっても気に入ってくれたみたいだけど、あたしのタイプではなかったから、そのまま自然消滅させたわ。
その次にあたしにメールを送ってきたのが、タクヤだったのよ。
タクヤは32歳の既婚者だけど、まだ若いせいか、先のメンズよりも情熱的で随分と人情味の溢れた、長文のメールを送ってきたわ。年齢を明かされるまで、彼があたしよりもずっと年下だったとは思わなかったぐらいよ。タクヤは、遠慮なく猪突猛進でこちらに向かってくる感じね。でもそれが不思議なことに、負担にも嫌味にも感じなかったのよ。
うちの夫は悪い人ではないけど、口下手でいつも無口で何も言わないから、何を考えているのか掴みきれないところがあるの。不倫関係で付き合っている時から、甘い言葉など一切言わない男だったから、タクヤのそーいう、情熱的なところがまさに物珍しく新鮮だったとも言えるわね。
しばらくは趣味だとか、身の回りの他愛ない話のやり取りばかりをしていたわ。
すーっかり心を開きつつあったあたしは、それまで誰にも打ち明けることのなかった、2人の夫がEDであることを初めて他人に打ち明けたの。それに対してタクヤは、「そんな大変なことをよく打ち明けてくれたね」って言ってくれたりして、それまであたしの中で張り詰めていたものがほぐれていくのを感じたわ。
それでこの人からまずはメイクラブをするよりも頭をなでなでされて、「今までよく耐えてきたね」って、慰めて貰いたいって思ってしまったのよ。
今、こーして打ち明けると、実に今のあたしらしからぬ発言で、とーっても恥ずかしくて、顔から火が出てしまいそーだけどね、汗!
あのねー、あたしだって最初はこーして人並みに純朴なところもあったのよ!
だけど!! 一方でタクヤはサイト利用はこれが初めてじゃない。これまでにもサイトを通じて付き合った人は何人かいたと聞いていたから、そんなタクヤとゆくゆくは自分も性交渉を持つのかと思うと、20年近く2名の夫としか関係を持ってこなかったあたしには、かなりの冒険で正直怖かったわ。
おまけに夫は抗がん治療中だったし、抗がん剤でどんな副作用がいつどのような形で出るのか分からない。そんな恐れのある夫は、副作用が出るたびに、大病院で複数にわたる診療科の主治医同士がカンファレンスを開いて治療方針を決定するような状態だったから、絶対にそんな彼に性病をうつせないとも思っていたの。
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