第1章 出会いを求めるあたし
最初の婚姻
あたしは、人妻キデ、今年48歳になる年女で、2度の婚姻歴があって、ちなみに子供は全然いないの。
それというのも、前夫は元々、勃起はしても射精に難のあるタイプだったのね。それが一気に深刻化したのは、結婚式披露宴を済ませた翌夜のことだったわ。
子供嫌いのあたしでさえ、当時はまだ初々しい人妻だったものだから、人並みに子作りをしよーとしていたのよ。
夫に子作り解禁を宣言してセックスに及んだ途端、その時から前夫は完全なる「子作りED」になってしまって、それ以来、離婚するまで全然回復しなかったのよ。
そ、女には、「女たるもの35歳までに結婚、出産を済ませておくべし」って、まだまだ物凄い重圧があるじゃない?
あたしもそれに倣って、31歳で慌てて、前夫と駆け込み婚をしたのに、「この仕打ちって一体何なの?!」って、毎晩前夫と子作りを試みては不発で終わるたびに、泣いたわね。
しかも、前夫のヤツ、明らかに自分に問題があるのに、病院に行ってみるとか、改善薬について調べてみるとか、一切何も自ら動こうともしないの!
そんでもって、いつぞやは親類勢ぞろいの場で、上品で物静かな義理の両親は何も言わなかったのに、彼らに代わって、子沢山の小姑から、「どーして、子供ができないの? あなたに何か欠陥があるの?」って、公開処刑されたわよ!
それなのに、前夫は隣で我関せずって、まーったくの知らん顔! 前夫を含めた一族に、激しい殺意を感じた瞬間ね!
ホント、35歳になるまでは、こーやって、周囲はかまびすしかったわね。
実際、あたしがまだ35歳未満だった時、婦人科の定期検診で病院に行くと、こちらは不妊治療なんてまーったく興味ないのに、勝手に営業してくるのよ。
「子作りにまーったく興味がないので、結構です!」って、キッパリと断ったら、じじぃの医者は、「この世で子供を欲しがらぬ女はいない」ですって!
いやいや、ここに少なくとも1人いるじゃないですか、子供を欲しがらぬ女が!
そーしたら、「君の旦那はそれで納得してるのかね?」なーんてえらく食い下がるから、こちらも言ってやったわけ。
「旦那は納得してるも何もインポなんで」って言ってやると、その後はしゅんと黙り込んだわね、フン、溜飲を下げた瞬間だったわ!
不妊で一番辛いのは、子供が持てないことじゃなくて、そーいう周囲の余計な反応に巻き込まれてしまうことよ。そんでもって、子を持てない自分をあたかも欠陥人間であるかのよーに、いつしか思い込まされてしまうことね。
むしろ、あたしはその後、「不妊」という、大義名分を得て、元々大嫌いだった、子供を持たなくていいと、出産・育児の呪縛から解放されたから、伸び伸びと過ごしたわよ。
そ、不妊以上に、女に重圧としてのしかかるのが、「女たるもの、母性本能から子供好きであるべし!」という偏見よ!
だから、外で一言、「子供が大嫌いです!」なんて言おうものなら、欠陥人間か、サイコパスかって目で見られかねないから、あたしは皮肉なことに、「不妊」という大義名分を使って、上手くカモフラージュしてきたわけ。