【前回の記事を読む】「今月は飲みまくる」と決め、オフィスでも二日酔いで寝てばかり…ついに、デスクの壁に“お札”が貼られた。書かれてあったのは…

オランダの壺

7

赤道の前にハイビスカスティー、麻田の前にはハワイの瓶ビールがある。ラベルのターコイズブルーの海が麻田には別世界のものに思える。

あさだプロップ不動産から歩いて二分のハワイアンカフェだ。外は梅雨の晴れ間で蒸し暑い。

「由那がお世話になっています」

「キャットピアのお話でいつも盛り上がるわ」

「ああ、ネコですね」

「ネコのユートピアみたいね」

そういう意味だったのか。

「そういえば、わざわざ甲府まで申し訳ありません」

麻田は座ったまま頭を下げた。

「由那ちゃんとはご縁があったのよ」

「ご縁ですか」

「うん。前世からね」

「えッ、前世でも由那にお会いになったんですか」

「そう。そういうことは、よくあるのよ。親子だって」

親子という言葉に麻田はドキリとした。レイラは自分より先に、まだ親子の会話もままならない歳で死んだ。前世からの縁など、麻田には納得しにくい話だ。

「ご縁があったから再会したし、秘書にもなってくれたわけね」

麻田は一瞬ポカンとなった。

「……秘書」

「あら、灯台下暗し?」赤道が笑った。

「……」

「前のお仕事より、私のそばにいるほうが楽しいみたい」