まじか……。一瞬、怒りを覚えたが、考えてみれば、由那も恥ずかしくて言えなかったのかもしれない。そもそも、おれは毎日こんな状態で、由那にしてもまともな話はできないかもしれない。
「許してあげてね」赤道が微笑んだ。
「許すなんて。むしろ、ご迷惑をおかけしないか、心配です」
「大丈夫よ。難しい仕事はないわ。それよりも、あの子が一緒にいてくれれば、私にも学びがあるのよ」
「学びですか」
「そう。あの子は好奇心旺盛でしょう。疑問があれば徹底的に聞いてくるの。それで私も勉強になるの」
由那が赤道に食いついて質問する姿が想像できた。
「くだらないこと、聞いてないでしょうか」麻田は不安になった。
「くだらないどころか、面白いことを聞くわ。『魂に色はあるか』とか」
窓の外の通りをどぎついピンクに塗った車が走っている。そんな色ではないだろう。
「どう思う?」
「魂ですよね。なんか、もやっと白っぽい感じでしょうか」
「白くて光に満ちていればレベルの高い魂よ」
「赤道さんはもう光いっぱいですか」
「そんなことないわ。暗いときもあったの。早くきれいにしないと、間に合わないわ」
「そんな、時間切れみたいな言い方、しないでください」
麻田は笑ったが、赤道は表情を変えなかった。
「まだまだ、いろいろ教えていただきたいです」
麻田が呟くと、赤道は頷き、少し寂しそうに微笑んだ。