国立がん研究センターの「最新がん統計」によると、生涯でがんと診断される確率は男性61.1%、女性50.1%(2023年データ)。いずれも2人に1人にあたります。

なかでも「スキルス胃がん」は、腫瘍のかたまりをつくらないため内視鏡検査で見つかりにくく、進行も早いとされる胃がんです。5年生存率も、胃がん全体と比べて大きく下回ります。
その発症から生還し、7年5ヵ月が経過した男性がいます(内容は2023年1月、書籍執筆時点)。

きっかけは、送り盆の夜に突然訪れた激痛でした。

本記事では、61歳でスキルス胃がんを発症した星野裕作氏の著書『スキルス胃がんからの生還 あなたならどのように闘いますか』(幻冬舎メディアコンサルティング)から、発症当日の経過と、スキルス胃がんという病気について述べた箇所をご紹介します。

突然の激痛だった(画像はイメージ)

胃がん発症

8月15日は送り盆です。親戚が集まり18時ぐらいから飲食をしておりました。

食べ始めたころは異常なかったのですが、そのうち胸がムカムカして目の前の料理が食べられなくなります。すごく気分が悪くなってきましたので、女房に自宅に帰ろうと相談してすぐに自宅に戻ります。

 

自宅では休んでいたのですが、どんどん胃が痛くなりそのうち耐えられないほどの激痛に変わりました。

 

女房に病院に連れて行ってくれと頼みますが、女房は、

 

「尋常じゃないから救急車を呼びましょう」

 

と言います。

 

自宅の前でサイレンの音を鳴らされるのはね〜と救急車を呼ぶのは躊躇していましたが、今までに経験のない激痛に耐えられなくて結局、救急車をお願いしました。

 

救急車に初めて乗りましたが、激痛で周りを観察する余裕はありません。早く到着してくれと、祈るばかりです。

 

最初に運ばれたのは、自宅近くの総合病院です。

そこでCT画像検査の結果、医師から、

 

「うちの病院では手に負えません」

 

と言われ、すでにいろんな病院に連絡されていました。

 

やっと受け入れてくれる病院(有名な総合病院)が決まり、また救急車に乗せられて指定された総合病院に向かいます。早く到着してくれと、祈るばかりです。

 

24時ちょっと前でしたか、やっと到着して救命室に運ばれました。

近所の総合病院では「手に負えない」といわれ…(画像はイメージ)

あとから医師、看護師、家族から聞きましたが、手術は7時間かかったそうです。

 

胃壁が破れているので内容物が外に漏れ、腹膜炎になっていましたので腹膜もかなり切除して、内臓を身体の外に出して3回洗い流し、洗い流した水は3回とも、がんの種が残っていないかを検査したそうです。少しは残っていたようですが。

 

がんは横に広がっていなかったので、胃の半分が切除になりました。
救急車をお願いしたのは、正しい選択でした。

 

医師から、

 

「あと1時間総合病院への到着が遅かったら、手遅れになっていたでしょう」

 

と言われました。

 

このとき初めて、スキルス胃がんだと告げられたのです。

緊急手術は7時間におよんだ(画像はイメージ)

一般的な胃がんとは違う「スキルス胃がん」とは、どのような病気なのか。
同書の中では、星野氏が医師からの説明を受け、次のように語っています。

スキルス胃がんとは

スキルス胃がんは、胃にできる悪性腫瘍の一つです。


スキルス胃がんは、胃壁や胃の組織にしみこんでいくように進行し胃壁が硬く厚くなります。
スキルスとは、「硬い腫瘍」という意味のギリシャ語で、【硬がん】などと呼ばれます。

 

通常の胃がんとは異なり、腫瘍などの病変をつくらないため、内視鏡検査などでは発見が困難です。また、転移しやすく進行が早い厄介ながんなのです。


胃壁の厚みの中に潜み、しみこんでいくように胃全体に広がり、発見されたときには手遅れ状態のパターンが多いのです。

スキルス胃がんは、転移しやすく進行が早い難治性の悪性がんです。


手術ができる状態で発見されたとしても、5年平均生存率はわずか約15%〜20%、胃がん全体の実測生存率の61.5%(2011-2012)と比べると暴走性のスーパー悪性がんです。

内視鏡では見つかりにくい(画像はイメージ)

――星野氏がスキルス胃がんを発症したのは2015年。
しかしその3年ほど前から別の病気で経過観察を受けており、胃の検査も定期的に行っていました。
けれども、それでも追いつけないほど、スキルス胃がんの進行は、とても早いといいます。

2014年12月、CT画像検査で胃の部、胃壁の厚みの中に腫瘍のようなものが見つかり、詳しい精密検査をおこないました。

 

【超音波内視鏡吸引法】(超音波内視鏡を使って腫瘍に細い針を刺し、腫瘍細胞を回収しての検査、回収した腫瘍細胞で組織検査をおこない診断する)での検査です。

 

検査の結果は良性でしたので、3ヵ月ごとの検査で経過観察となりました。

 

2015年6月の検査では何も変わらず異常なしで、次回の検査は9月3日でした。
ところが、突然8月15日に胃壁が破れて救急搬送されたのです。

 

18ヵ月間変化のなかった良性の腫瘍が、スキルス胃がんに変化して、たった3ヵ月で暴走的に進行したのです。

 

今から思うと胃壁が破れたのが、スキルス胃がんとの闘いの中で最初のラッキーだったなと思っています。

 

つらい思いはしましたが、胃壁が破れたおかげで早期に発見することができたのです。

 

スキルス胃がんの特徴は、胃壁の厚みの中でしみこんでいくように胃全体に広がりますが、私の場合は横に広がらず、縦に広がって胃壁が破れたのです。

もしも横に広がっていたら、気づくのが遅れて手遅れになっていたでしょう。

病気は、定期的に検査を受けていても、見つけられないこともあります。
症状の出方も、進行の早さも、人によって大きく異なります。

いつもと違う痛みや違和感があったときは、我慢せず医療機関を受診してください。

※本文中の生存率は、書籍執筆時点で示されていた数値です。症状の現れ方や経過には個人差があります。スキルス胃がんについての最新の情報は、公的機関が公表している資料をご確認ください。

 

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