第四章

まだあちこちに雪が残り、遠くの山々は白銀の世界。夜汽車に乗り、明るくなった港から連絡船に乗って北海道に渡った。そしてまた汽車に乗り、残雪の残る川沿いを歩いて、ウイスキー蒸留所にたどり着いた。

あてもなく、樽が眠るレンガの倉庫で原酒とともに20年、30年と眠れればいいがな、という思いがしていた。

駅前の安宿に泊まり、二、三日倉庫のあたりをふらふらしていると、小降りの雪が次第に吹雪のようになってきた。

前方に小さな建物がある。三角屋根の事務所のようで、屋根には白く縁取りがあった。スコットランドの建物のようだ。ひろしは中へ入っていった。

「アルバイトでよいですので、ここで働かせていただきたいのです」

「ああ。最近この辺りを、よく見学されている方ですね。学生さんですか? 人手は足りないので、もしご希望なら戸籍謄本と履歴書を提出していただければ検討させていただきます」

ひろしは家に戻って母に報告して、戸籍や履歴書を取りに行こうと思った。

翌日、青函連絡船「八甲田丸」に乗った。

少し沖へ出ると、連絡船は荒波に揺れ始める。群れで飛ぶカモメを見てからトイレへ向かって甲板を降りた時、ひろしはハッとした。トイレのドア横に掲示板があり、指名手配のポスターが貼ってあった。それはまさしく自分の写真である。そして、その横はMだ。

慌てて自分の席へ戻った。もう、家には帰れない。

 

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