【前回記事を読む】「初めチョロチョロ中パッパ、赤子泣いても蓋取るな」小学5年生の夏休み。キャンプ場で初めて飯盒でご飯を炊く山田は、家から徒歩で30分ぐらいかけて小学校に通っていた。そのおかげで脚腰が強くなったのか、走るのが早かった。とくにマラソンは学年でもトップクラスだった。山田が親指ほどの大きさの紫水晶を見せてくれたことがある。山田の家から20分ほどのところにあるお寺の近くに水晶山と呼ばれてい…
[連載]霧は、アンダンテで流れ行く
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小説『霧は、アンダンテで流れ行く』【第4回】余語 眞二
「かあさんはね、日本が戦争に負けてよかったと思ってるの。」満月を眺めながら、母は静かにつぶやき、言葉を続けた。
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小説『霧は、アンダンテで流れ行く』【第3回】余語 眞二
「初めチョロチョロ中パッパ、赤子泣いても蓋取るな」小学5年生の夏休み。キャンプ場で初めて飯盒でご飯を炊く
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小説『霧は、アンダンテで流れ行く』【第2回】余語 眞二
社長の一言で、気づいたら結婚することになっていた――高卒で工務店に就職した父と、その工務店で事務をしていた母は…
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小説『霧は、アンダンテで流れ行く』【新連載】余語 眞二
顔より大きな三角形の一切れ、真っ赤な実と皮の緑色が夏そのものだった――思い出すのは夏の景色。縁側で祖母と食べた西瓜の冷たさ