【前回記事を読む】ナショナル・トラストでお得に名所巡り。クルマ好きが愛車で走り抜けた、思い出の景色と知られざる英国のリアルな道路事情
第2章 歴史と文化を探求するドライブ旅
1.ミッドランド イングランド中部(The Midlands)
ミルトン・マルソーの我が家から手軽に回れる場所はイングランド中部に数多く存在しています。ここではそれらの中で何度も訪ねた常連の地を自宅からクルマで1時間圏内での距離にある近隣の場所と、1時間以上かかる少し遠出となる場所に分けて紹介します。
近隣(自宅から1時間圏内)
◆オルソープ・ホール(Althorp Hall)
オルソープ・ホール(Althorp Hall)は、ノーサンプトン市郊外のハーレストン村(Harlestone)の近くにあります。我々の住むミルトン・マルソーから北上し、ノーサンプトン市を抜けて北西へA428を走ると到着します。走行距離約16km、所要時間は25分ほどです。
周囲はノーサンプトン郊外から続く緑の田園地帯の牧草地で、途中の田舎道のところどころに点在する小さな村の趣深い家たちが昔の面影を美しく残しています。
この地に最初に居館を建てたスペンサー家が脈々と500年超の長きにわたり同じファミリーで住み続けて現在に至るという意味では、英国の数あるマナーハウスの中でも特筆するべき存在といえるでしょう。
私たち家族が英国滞在中に6~7回は訪ねた場所です。もとより、ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズの実家であることがきっかけで、地元の人たちから必見の場所と紹介されていたことと、何よりもアクセスしやすい近場であったためです。
最初の数回の訪問時は、まだダイアナ妃の事故が起きる前のことであり、マナーハウス全体はゆったりした雰囲気の中に佇んでいました。訪問客は誰もがのんびりした足取りで広い芝生の庭を歩いていきます。
やがて目の前に現れるハウスの本館は、灰色を帯びた薄茶色の石に覆われた立派で上品な風格を示しています。公開されている内部の部屋やサロンは、そのまま美術館か博物館にいるかのような素晴らしさで、スペンサー家歴代の人物画や彫像が壁や廊下のいたるところに飾られています。
天井、階段、床、カーペット、椅子、机、ダイニングテーブル、シャンデリア、マントルピース、ベッドなどは部屋ごとにさまざまなデザインに満ちています。とりわけライブラリーにある貴重な蔵書の数々やあちこちの部屋を飾る陶磁器のコレクションが秀逸です。
スペンサー家(The Spenser Family)が実際に住んでいるハウスであることから、それぞれの部屋にある調度品や小物たちも適度に活用されている息遣いが感じられます。