また自分に決められた仕事以外は目の前に苦しんでいる患者さんがいても知らん顔で何もやらない医師。
そんな時代の中で従来のように問診、視診、聴診、打診、触診を重視し使用する聴診器にこだわる古い医者。言わば化石のような存在であり、私が自身を化石医師と名乗る由縁です。
でもどんなに検査機器が進歩しても旅先や列車や電車内に機器を持ち込むことはできません。あるイベントに参加していた時です。隣にいた参加者の方の様子が少しおかしい。異常に気付いた化石医師はすぐ心臓発作と気付き救急連絡、その結果そのIさんはその後20年長生きされました。
ある医師会の会合でした。壇上にいたO医師が突然壇を下り外へ出て行きました。「おかしい……」化石医師は直ちに後を追って外に出てO医師の状態を見ました。血圧が急に上がって苦しくなったようでした。 医師だけの会合で同じようなことを他にも2回程経験しています。
でもO医師の件を含め3回とも異変に気付き最初に駆けつけたのはいつも化石医師でした。他の医師達は気付かなかったのか、あるいは自分に関係のないことには手を出さないのか寂しい限りです。
でもO医師の1件の時は遅れて駆けつけたK女医さんがいました。「いつも持ち歩いています」彼女が出したのは降圧剤でした。その薬を内服させ少し休ませてO医師は落ち着きました。K医師は化石医師が顔を出す研修会でいつも顔を合わせます。若い先生でこんな方がいてくれた。うれしい思いをしつつK医師を育てた大学関係者は素晴らしいと思いました。
電話をかけて来た友はわざわざ化石医師の診療所までやって来ました。その後「診察を受け初めて腹を触って貰って、相談にものって貰い不安感で一杯だったのに心が晴れました」と連絡を寄越しました。彼はその後無事手術を受け闘病中です。
医療の基本は患者さんの状態をしっかり把握し心の変化を理解し寄り添って行くことだろうと思います。古くさいが化石医師も悪くはない。