化石医師

ずっと通っていて信頼もある良い医師なのだけれど一度も腹を触ってくれたことはない。自身の病気について相談を受けた時、友が語った言葉です。

病気の診断には問診、視診、聴診、打診、触診があります。出来る限りの方法を用いて目の前の患者さんの状態をチェックする。これらの基本の他にも時には匂いを嗅いでみる。あるいは直腸診のように指を入れてみることもあります。

若かりし頃、化石医師は「聴診器よりイヤーピースの間の頭が問題だ」と笑われながら少しでも良い聴診を願い、当時名器と言われた聴診器を買い求めたものでした。

患者さんからの信頼を得るため自身の服装をきちんとする。ネクタイをせず診察したことは一度もありません。パジャマ姿、アロハシャツでの診察で患者さんが心を打ち明けてくれるでしょうか?

ゆっくり穏やかに患者さんの立場になって分かり易い言葉で対応する。

近年医療検査機器の発達進歩はめざましいものがあります。それこそ視診、聴診で絶対分からないような小さな変化がCTやMRI検査で描出されることもあります。そのような時代の中で冒頭の話のように患者さんを見ず画像だけを見つめる医師も増えています。

また化石医師が「武士の魂」として大切にしている聴診器もそこらに置き放しにする。テレビの影響でしょうか、検査着だけで診察する医師も増えています。