その後は何もわからず、夢なども見ずに約10時間程度か? 「わたしはだれ? ここはどこ?」状態であった。患者や家族が最も不安を抱くであろうことは、この手術室という普段は行ったことのない密室で行われる、手術という未経験で未知の事件ではないだろうか。

自分は手術室や手術のことを知っていたのであまり不安はなかったが、「このまま目が覚めないのでは?」「終わったらめちゃくちゃ苦しくて、痛くてどうしようもないのでは?」などといった恐怖心は多少あったような気がする。

麻酔が体内に入った瞬間、頭の先から足のつま先までのすべての細胞がお休みになったような感覚だったと記憶?している。本人的には苦しみや痛みなどないので、このまま起きなくてもよいかと、後から少し思った。全身麻酔や手術自体はそれほど自分にとっては苦痛ではない。それよりもこれから述べる術後のつらさが患者を痛めつけるのではないかと思った。

意識が戻って起きたら総合集中治療室(GICU)のベッドだった。麻酔が切れたというよりは、痛みがひどくて目が覚めた印象。結局術中迅速病理診断が陽性だったので、胃は全摘されたようだ。皆が、代わる代わる話しに来るが、それどころではないくらい痛かった。どこが痛いかもはっきりとわからない。

尿管カテーテル(バルーン)を恐れていたが、それよりも経鼻胃管(NGチューブ)カテーテルの方がつらかったので、早々に抜いてもらった時はホッとした。こんなにひどい管を(もちろん治療に大切なのではあるが)、自分は頭頸部がん患者に容赦なくぶち込んでいたのかと思った。

患者は入れたままでよく入院生活をしていたものだと感心した。鎮痛剤で少し治まるが、2時間おきに痛みで起きていたと思う。Tよしみ似のナースがしっかりしていて頼りになった。なめたらあかん。

 

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