【前回の記事を読む】彼女を助けるためには、団地の階段を上って玄関から行くのでは無理。ベランダもないから、窓を割って助け出すしか…

私が空を飛ぶ理由~つばめのつばさ~

時を超えるつばめになろう

冬の出発は避けるとしよう。私は冬の間、比較的穏やかで、寒さも厳しくない夜を選んで遠征練習を繰り返した。

横に長い静岡県を二回で制覇し、次は愛知まで。大阪までは距離のワープを使ってみた。大阪で休憩し、神戸までは辿り着けた。

それぞれの場所には家族三人で訪ねた思い出があった。飛ぶ前に写真を見ながらイメージを膨らませると、目標時刻を少し前後するくらいで〝跳ぶ〟ことができた。

場所によって時代は前後するので、現地で見かける娘の姿は小さくなったり、大きくなったりした。あのころが人生で一番楽しかったし、仕事も充実していたことを思い出す。

体は行くたびに限界くらいに疲れたが、苦しくても何とかなった。

当時の家族の笑顔に癒されたこと、目的が明確になったことで、ここで倒れるわけにはいかないと踏ん張れた。

時間とあわせて、ある程度の距離をワープする術を覚えたのも大きかったと思う。

最初は偶然だった。仕組みはタイムリープと同じだが、体力は一気に消耗する。一晩で何度も使えるわけじゃない。

距離とあわせて、高校二年生の時代のあの場所まで本当に跳べるのか自信はなかった。