「ごめん、待った?」
「ううん、さっき着いたところ。えっ、何、その格好?」
利佳を見るなり、悦子が、開口一番に言った。
悦子が驚くのも、無理はなかった。そのときの利佳の格好と言ったら、赤と青の公式キャラクターがでっかく描かれたTシャツに、首からは同じく赤と青のタオルをぶら下げていた。頭には赤のカチューシャをつけていて、そのてっぺんには公式キャラクターが心地よさそうに寝そべっていた。
まるで、宇宙人にでも会ったかのように、利佳の全身を舐めまわすように見つめる悦子。その好奇な目が、自分の姿格好に向けられていることに、利佳はなかなか気づかなかった。
「えっ、何? 私がどうかした?」
「いや、だから、利佳のその格好だよ」
利佳は、悦子の視線の先にある公式キャラクターのTシャツに目を落として、
「あぁ、これ? せっかく万博に来たんだもん。思いっきり楽しまなきゃ」
と、悪びれもせず答えた。
利佳の言葉に、悦子は絶句した。
思い出してみれば、去年の夏休みに、千葉にある夢の国に行ったときもそうだった。
利佳は、入園して早々にショップに駆け込んだ。お土産なんてあとにすればよいのにと思っていたが、悦子はしばらくの間待ちぼうけを食らった。そうして店から出てきたときの格好に、悦子は開いた口がふさがらなかった。入園しておよそ十分で、利佳は夢の国の住人と化していたのだ。
「私って、カタチから入るタイプだから……」
利佳は言い訳がましく言ったが、悦子は明らかに一歩も二歩も引いていただろう。
「とにかくここにいても仕方ないから、早く中に入ろうよ」
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