ジムの指導員に「瀬川君、今リングが空いたからスパーリングやってみれば」こんな風によく声を掛けられ、4回戦や6回戦のプロ選手と今迄何度もグラブを交えたことがある。

―相手の動きを見切って放つ左ジャブが毎回面白いようにカウンターヒットするから、自分のボクシングセンスには絶対の自信を持っているのだ。

「一年程集中して練習を積めば、日本チャンプクラスにも決して負けやしないさ」と。

この日は珍しく、最後の筋トレメニュー迄熟(こな)してジムを後にした。そして家に戻りシャワーを浴びた後、アスリートに有り勝ちなプロテインではなく親父のアルコール好きDNA が遺伝したのか、立て続けに2本の缶ビールを飲み干す。

「旨(うま)い!」“この為に俺はボクシングをやるんだ”等と不遜(ふそん)にも正春は想ったりする。

何せ一度のフルトレーニングで2キロ前後はウェイトが落ちるので、大量の汗を掻いた分だけビールが最高のご褒美(ほうび)になるのだ。

 

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