著書『孟子』の後世への影響

儒教の中で重要な経典として、四書五経が知られている。四書は『論語』『大学』『中庸』『孟子』、五経は『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』を言う。このように、『孟子』は儒教における重要な思想書である。鎌倉時代に日本に伝わり、江戸時代には公認の学問とされた朱子学においても『孟子』は重要視された。

また、西郷隆盛に大きな影響を与えた陽明学は、孟子の性善説の系譜である。本書で登場する西郷隆盛、新渡戸稲造も『孟子』を学んでおり、西郷隆盛は、遠島の刑にあった折に『孟子』を地元の青年たちを集めて教えるほどに熟読していた。また、長州において倒幕の思想的支柱であった吉田松陰(1830年~1859年)は『孟子』を松下村塾で塾生に教えていた。

日本における儒教の浸透は、戦乱が終わり、統治が主な役目であった江戸幕府が社会秩序の維持のため、儒教の系譜である朱子学を奨励したことによるところが大きい。武士の子弟が学ぶ藩校や、庶民向けの寺子屋などで儒教が教えられた。


1 金谷治『孟子』(岩波書店、1966)より引用

 

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