チロの死から三年が経っていた。わたしは猫を再び飼いたい気持ちはあったが、敢えて求めて飼おうとはしなかった。
ある日、台所の食材を買いに行く道の途中にあるいつものスーパーマーケットの前で、わたしより少しお姉さん風のおばさんが仔猫を抱いていた。
それはどうも今、この猫を見つけて抱いた感じだった。
わたしは彼女に聞いていた。
「この仔猫は、今、ここで見つけたのですか」と。そして、それからわたしはその女の人と仔猫の前に立ったままになっていた。
彼女はこの仔猫へのわたしの眼差しに気づいて言った。「この猫健康よ。ほら毛並みも良いしね。わたしは今、家に六匹の猫がいるのだけれど、この猫も飼ってもいいと思っているのよ」
さらに、今見つけたばかりだという。そして「この子とても元気ですよ。それにほら」と、抱いていた仔猫をわたしの腕の中にホイっと置いた。
その時、多分仔猫の小さな重みがわたしの中で「この猫を飼いたい」という熱い願望になったのだと思う。わたしは、仔猫をしっかり腕の内に引き受けていた。そして仔猫を抱きながら、
「わたしの一存ではこの子を引き受けると今ここで言えませんが、一応この子を預かって帰ってもいいですか。もし家族に反対された場合、引き取っていただけますか」と今思うと図々しく聞いていた。
それに対して彼女は連絡先のメモをわたしに差し出し「いいわよ」と言ってくれた。 わたしは仔猫を抱いて家に帰り、ちょうど寝転んでリラックス状態の主人の傍らに仔猫を放した。
そして「この猫、〇△スーパーマーケットの前にいたの」と言った。
主人は仔猫を抱き上げて撫でた。
「飼ってもいいかしらね」
それで仔猫は、我が家の家族になった。
友人の「早く去勢しないと」のアドバイスを参考に、先ず仔猫を動物病院に連れて行った。実はその時点で性別の判断がつかず、我が家では雄か雌か意見が分かれていた。
雄だと、友人の言うように直ちに去勢手術をしないとどこかに行ってしまうらしい。病院で雄と言われ、わたしは焦って、当時あった、相模原市の猫の去勢手術補助金の手続きをして、すぐ病院へ連れて行った。医師によるとその時、仔猫は生後三ヶ月位ということだった。
息子と仔猫の名前について検討した。パソコンで画数とか姓名判断とかを検索した。