―第1章― 山並み

始まりはカタクリの花

長年続けてきた仕事を退職する直前、(朝はゆっくりできる、やっと自分の時間が作れる!)と心を躍らせていました。

しかし、退職後にやりたい強い思いのものはなく、また、趣味といえるほどのものもなく毎日ぶらぶらしているそんな時に、友人から声がかかりました。

「ねぇねぇ、カタクリの花を見に行かない?」

「えっ、カタクリの花?」

カタクリと聞いて私はジャガイモの澱粉を思ったのです。

「澱粉じゃないの! お花ですよ」

「お花? ふ~ん。知らないなぁ」

退職後の荷物の整理をしている日々でしたので、気分転換に行くことにしました。

さて、当日、集合場所で友人の所属しているグループの方々によろしくと挨拶をしてバスに乗りました。

行き先は秋田県田沢湖町と西木村(2005年9月20日、田沢湖町・角館町・西木村が合併して仙北市となる)。

水芭蕉とカタクリの花を見るとのことです。水芭蕉は歌で知っているだけで、カタクリの花は見当もつきません。

バスに揺られていると次第に期待が膨らんできます。

やがて、「おーい、降りるぞ」と声がかかり下車。

歩みを進めるとそこにはハンノキの林が広がり足元は湿地、水芭蕉の群生ではありませんか。

 

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