第二話 掴まれた心
あれから学校で律音とすれ違うと挨拶をするようになった。律音は大抵誰かと行動を共にしているため、話しかけて普通に会話をすることはできなかったが、接点が持てるようになったことが嬉しかった。やはり彼が気になる存在なのだと自覚し(律音先輩と普通に話してみたい)と思うようになる。私は結に律音先輩とどんな話をしているのか、訊いてみることにした。
「あのさ、結って律音先輩と仲良いよね?」
教室に戻って来た結に訊く。
「仲良いってほどじゃないけど、たまに話してるよ」
椅子に座るとペットボトルの水を一口飲み、結が答える。
「律音先輩ってどんな人?」
結は斜め上を見ながらしばらく考えていたかと思うと、あっさり言った。
「んー、面白い人! 色々なこと知ってるし、話を聞いてて楽しいよ」
「そうなんだ。私は挨拶くらいしかしたことないからなぁ」
「話しかけたら普通に話してくれるよ? 私も『去年の文化祭の演奏すごかったです!』っていきなり話しかけたし」
物怖じせず、さばさばした性格の結が羨ましい。自信がなく、傷付くのが怖くて一歩を踏み出せない自分にイライラする。いつか変わりたいとずっと思っていた。
(よし、今度律音先輩に会ったら自分から話しかけてみよう)
結と話してようやく決心する。
「結、ありがとう。私も今度話しかけてみるね」
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