「先輩のこと好きだなんて考えたことないよ。ただ、今までドキドキすることなかったから、ちょっと動揺してるのかも」
「世の中では、それが恋の始まりだと言われております。まぁ、恋の始まりに全く気が付かない鈍感な男もいるけど、私はすぐ気が付くタイプ」
莉央は光輝をチラリと見た後、私を見て目を細めた。
「えー、そんなこと言われたらますます意識しちゃうよぉ」
恋の始まりを経験したことのない私は、眉間に皺を寄せて頭を抱える。
「まあ、あまり意識せずに気楽にやれよ。難しく考えると楽しめないからな」
相変わらず、他人事のように慰めの言葉を言う海斗を軽く睨む。
「海斗のいう通りだよ。まずは楽しむことが一番だよ。“今日、先輩と話せた、やったー”くらい気楽な感じでいいと思うよ」
こういう時、莉央は本当に心強い。三つくらい年上の姉のようだ。
「みんなに話せて良かった。この先どうなるかもわからないのに、あれこれ考えても仕方ないよね。気楽にやってみる。ありがとう」
莉央だけに話せば良かったかも……と若干後悔も残ったが(まぁ、いいや。いずれあのふたりも知ることになるんだから)と気楽に考えることにした。