デスゲームとは殺し合いのゲームのことだ。黒幕みたいな人物がプレイヤーを強制的に集め、他人を蹴落とさないと自分は生き残れない──そんな設定の映画や小説を総称してデスゲームと呼ぶ。
私達はデスゲームの渦中に放り込まれた──。悲しいかな、それを否定できない状況に感じられる。
「じゃ、そこの泣いてる奴」
真理が指名したのは、構ワナイデちゃんだ。相変わらずあの調子で、今も広場の片隅で椅子に座ることなく膝を抱えて蹲っている。彼女は自身が指名されたことすらわかっていないように映った。
「お前だよ、お前」
真理は苛々しながら、彼女に近づく。恐怖を感じたのか、それまで啜り泣きしていた彼女の声がヒートアップを始める。仕切り役の蘭が真理に対して言葉遣いに配慮するよう、イエローカードを突きつける。
美姫が彼女にそっと近づき、優しく抱くように頭を撫でる。美姫の優しさに絆(ほだ)され、ようやく少しだけ心を開いてくれた。
「芳賀詩織」
彼女に次の人を指名する余裕などなく、勝手に次の人にバトンが渡った。
「氷室涼子。例の職業とやら名乗りたくてうずうずしてるんやけど。そろそろカミングアウトしてもええかな」
通路で詩織に話しかけていたとき、“弱い者虐めしたらあかん”と言いながら護身術を披露した腕っ節の強い御仁だ。おかげでまだ右腕に多少の痺れを伴っている。
職業公表の件については、当然、蘭に却下された。涼子はやれやれと肩を竦める。
涼子が指名したのは、私達の中で唯一、眼鏡を掛けているおかっぱの娘だ。薄紫のカーディガンを着て、みんなから少し遠い位置で大人しく座っている。詩織と同様、彼女も殊更周囲を警戒しているように感じられた。眼鏡の所為か、いかにも神経質そうだ。
「私は伊藤揚羽。お次どうぞ」
名前を名乗ると、両手の指先を近くの女性に向けた。
最後に指名された女性は独特のオーラを放っている。同じ年頃の娘ばかり集められているが、それにしては彼女は大人の女性の色香を放っている。往年の山口百恵に雰囲気が似ている。椅子に凭(もた)れ掛かったまま、目を瞑ってぴくりとも動かない。
「もしかして寝てるとか?」
「いい度胸してるな。この状況で」
真理が近づき、寝ている女性の頭を軽く小突いた。女性は片目を開けたが、じろっと睨んですぐに目を閉じた。なかなかの臍曲がりらしい。
「その人は星崎彩さん。ロングスリーパーらしいので大目に見てあげて」
揚羽が代弁した。揚羽がなぜ彼女の名前を知っているのか補足説明はなく、彩も彩でそれを肯定も否定もしない。
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とある建物に若い女性ばかりが誘拐監禁された。黒幕は「ジジイに違いない」と断言する女性。その確信の根拠を尋ねると……
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