【前回の記事を読む】全員のスマホが消え、誰も現在地を知らない。謎の場所へ閉じ込められた9人の女性。「これって、デスゲームだよな」と誰かが言い出して……

問題篇

COUNT 9 エ

 
 

いずれにしても、自己紹介は一巡できた。仕切り役を自認する蘭が再びファシリテーターを務める。

「この後どうするかだけど、みんなから意見を募るようなことはしない」

「独裁かよ?」

野次が飛ぶが、蘭は臆さない。

「じゃ、一旦解散」

「どうして? なんで解散なの? お互いの自己紹介だけして解散はおかしいでしょ」

「単純にこの建物についてもっと知りたい、確かめたいという需要が多いみたいだから、そっち優先ということよ。ここに長居したい人はいないでしょ。いったいここはどこなのか? ここから外へと出られるのか出られないのか? それを知りたい人が多いなら、まずはみんなで共通認識を持った上で会話しましょうと言いたいの」

「いいよ。でも時間の無駄だけどね」と、嘯(うそぶ)いたのは真理だった。

「少なくとも私はざっと確認した。知りたいなら止めないが、決して甘い夢を見ないほうがいい。私がデスゲームの可能性を持ち出したのは、伊達でも酔狂でもない」

「どうやら異議なしで決定。再会の時刻を決めようかしら? 二時間後にこの噴水広場に全員集合でどうかしらね」

すんなりと解散が決定する。

私としてはこの不気味な建物から早くおさらばしたい思いが強く、蘭の提案には諸手を挙げて賛成だ。私と同じように実地検証を希望する仲間を募って、合同で捜索したかった。

清楚なお嬢様風の美姫と、好奇心旺盛な垂れ目のむつみの二人が、私の提案に直ちに乗ってくれた。

「三人寄ればなんとやらって言うしね」

むつみは建物の外周に当たる通路を目指した。

「三人寄ればかしましい?」

「三人寄れば文殊の知恵でしょ! 琴音は元気だね。人狼ゲーム風のデスゲームに巻き込まれてるのかもしれないのに」

むつみの“デスゲーム”という単語に、美姫が身震いした。

私と美姫、むつみの三人を“文殊ers”と呼ぶことに決め、デスゲームに巻き込まれても互いに協力し合おうと結束を固めた。

「なんだかもんじゃ焼き屋の看板娘みたい」