繰り返しの説明になるが、この建物は噴水広場を十二個の部屋が取り囲む構造になっている。十二個の部屋は下の名前の五十音順に並んでいるらしく、揚羽、彩、琴音……と続く。

私達は時計の針の順方向に、建物の外周に沿って探索してみる。

「むつみは誰の仕業だと思う?」

歩きながら、他の人の見解を確かめたい衝動に駆られた。

「頭のおかしな人」

「だからそれは誰よ?って質問されても困るかもだけど」

「元締め?」

「なるほど。つまり白昼堂々と闇賭博が行われ、私達の誰が生き残るのかを金持ちどもが裏で賭ける。そんなご機嫌なデスゲームを実現すべく、エロジジイの手で私達は誘拐監禁される羽目になった? 真理のデスゲーム説に賛成というわけね?」

「喩えて言うなら、リアル人狼ゲームかな。黒幕がエロジジイかどうかはわからないけどもね」

「いや、これは間違いなくエロジジイの仕業でしょ。うら若い美女ばかり集めて甚振(いたぶ)るとか、エロジジイにしかできない発想よ」

「先入観を持って決めつけると碌なことにはならないよ。エロ青年の仕業かもしれないし、女の敵は女という名言もあることだし」

「これは絶対にエロジジイ案件だって。私は秋葉原のメイド喫茶で働いてるから、エロジジイの生態なら知り尽くしてるんだから」

「秋葉原? メイド喫茶?」

「うん」

「下着をつけないで給仕するあれ?」

「それはノーパン喫茶。一緒にしないで」

「今でもやってるの?」

「それがなにか?」

秋葉原のメイド喫茶で働いているというのが、むつみの関心を誘ったらしい。目を丸くしている。

「なんならむつみを店に紹介してあげるよ。ここから首尾よく出られたらだけど」

他愛もない遣り取りを私とむつみとで交わしていると、同行していた美姫が小声で私達の会話を断ち切る。

「あれ、一周してしまいました!」

美姫によれば、会話しながら歩いているうちにぐるりと回ってもとの位置に戻ってしまったらしい。

「嘘?」

「嘘なんて吐きませんよ。だって私の部屋の前からスタートしたんですもの」

「だって出入口みたいなの、なかったよ? ね?」

 私がむつみに意見を求める。

「なかったと思う。念のためにもう一周しようか?」

私達はもう一周するまでもなく、出入口らしきものが見当たらないという見解で一致した。外周の通路には窓もなければ扉もない壁が延々と続く。しかしそれでもどこかしらに出入口はあるはずで、おいおい探さなければいけない。

 

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