【前回の記事を読む】末期がんの父が行方不明に。震える指で110番し…その夕方、警察から呼び出された。遺体安置所だった。シートをめくると、父の腕時計が見えて…

第一章 出逢い ~青い春~

優子は病室で目を覚ました。

「優子さん!? 気がつきましたか?」

入江が優子の顔を覗き込んだ。

「えっ? ここは? どうして貴方が?」

優子は救急病院へ運ばれ、警官が家へ連絡したところ、母が入江に頼み、彼が駆けつけて来てくれたのだった。

「大丈夫。大丈夫ですよ」と、入江は優子をなだめた。
「ウソ! ウソよ! お父さん! ハァーッ! ハァッ! ハァッ! ハァーーー!!」と、また優子の息づかいが荒くなった。

入江はナースコールのボタンを押した。看護師が来て、優子を起こし、背中をさすった。そうしながら院内電話で医者に連絡をした。

看護師は出て行き、また戻って来て、優子の細い腕に安定剤の注射を打った。二十分ほどして、優子はまた気を失った。優子は食事もとれず、栄養剤の点滴を受けていた。

夜中に起きて、激しく泣いた。看護師がまた安定剤の注射を打った。優子は疲れきっていた。

絶望し、心はうつろだった。担当の医者は、今の優子には判断能力がなく、三日は安静が必要だと、入江に伝えた。

警察での煩雑な手続きは、入江が済ませた。警察も、入江が優子の婚約者だと言ったので、全てを任せた。