達雄は享年五十三歳で荼毘に付され、その骨壺を抱いて、三日後の夕方、優子は入江に付き添われ、家に帰った。その間、優子は誰とも一言も口をきかなかった。

入江とは家の前で別れた。真弓は寝込んでしまっていた。

優子は、魂のぬけ殻のような状態のまま、床の間へ入り、仏壇の中に父の骨壺を置いた。「お父さん……」と、優子はつぶやき、崩れるように横になった。

もう涙も出なかった。優子は、目を見開いたままピクリともせず、そこで夜を明かした。

朝になって、優子の携帯電話が鳴った。入江からだった。着信音が長く鳴り続け、優子はやっと通話ボタンを押した。

「優子さん? 大丈夫ですか? 眠れましたか? 朝食、食べられましたか?」
「……色々すみませんでした」
「僕、そこまで来ているんです。駅前の、いつもの喫茶店に来られませんか?」
「……」
「待っています。待っていますから、来て下さいね」
「……ありがとうございます」

優子は電話を切った。重い体を起こし、寝室へ母を見に行くと、真弓はまだ寝ていた。

洗面所へ行って、鏡に映った無表情な自分を、他人を見るように見つめた。バレッタをはずし、髪をブラシでといた。化粧直しもせず、そのまま玄関を出た。

 

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お母さんには、もうお許しを頂いています。結婚しましょう。

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