【前回の記事を読む】首都圏直下型地震による被災後、9人の女性が隔離施設へ閉じ込められた。互いの名前すら知らない私たちに共通していた認識は……

問題篇

COUNT 9 エ

 
 

「というわけで、次」

私は隣にいる娘を指差した。

ストレートに伸ばした長い髪の女性だ。美人揃いのこのメンバーの中でも余裕で優勝できる美貌を持っている。色白で清楚で、落ち着いた立ち振る舞いなどどこぞのお嬢様風だった。

「早蕨美姫(さわらびみき)と言います。人狼ゲームの話題が出ましたが、そういうことなにも知りません。よかったら空いてる時間にどなたか教えてください。よろしくお願いします」

所作の所為(せい)なのか敬語の所為なのか、一人だけ浮いている。

美姫は少し離れた位置に座っている女性を指名した。人狼ゲームの話題をはじめに切り出した垂れ目の論客だ。

「私の名前は、駿河むつみ。さっきは勝手に先走ってしまってごめんなさい」と、むつみはちょこんと頭を下げた。

「今さっき、琴音がスマホについて相談したがってたけれど、私も気がついたらなくしてるんだ。たぶんここにいる全員がスマホなしの状況じゃないかな。それからここはどこなのか、私にもわからない。美姫にはあとで人狼ゲームについて話してあげる。これから人狼ゲームを始めるわけじゃないし、ざっくりとしか説明しないけど。よろしくね」

しっかり者のようで次の人を指名するのを忘れてしまうそそっかしさもあるようだ。周りに促されて、隣に座っているポニーテールの女性を指名した。

その人は黒いタンクトップに薄手のジャケットを着ていた。ジーンズにスニーカーと随分ラフな格好だ。顔の彫りが深く、やや日本人離れしたルックスで、指名されると椅子から起立した。

「私は横浜真理。私もあいつと同じ意見で」と、左手の人差し指で私を指した。

「まったりと自己紹介なんてしてる場合じゃないと思う。デスゲームとかそんなシチュエーションだよな」

真理の口から“デスゲーム”という物騒な単語が示された。