Chapter4 探検隊
さて、話を探検隊会議に戻そう。
留守番組は、リーダー代行に早坂雷・泉晴夏の二人が就いた。岩崎は行きたがったが塀工事の総監督で外れることができず、運動神経の悪い沼田、骨折の癒えていない川田とともに残ることになった。
泉は不安な様子で尋ねた。
「ねえ、ホントに縄文人に会ったらどんな風に接するの。会うっていっても、いろいろあるじゃない。森の中でバッタリ出会ったり、遠目に分かったり、集落を見つけたり……」
「どんな会い方をしようとも、まずは敵じゃないことを知らせなきゃね」
林は慎重な目をして言った。
「どうやって知らせるの? 同じ日本だけど四千五百年も隔てていたら、言葉はきっと通じないわ」
「うーん……。まずは、こうやって腕を開き、手も開いて見せて、武器を持っていないことを伝える。で、お辞儀をする」
「武器が無いのを知らせるのは意味があるかもしれない。だけど、お辞儀って伝わるのかしら。そういうのって文化によって違うじゃない」
「四千五百年隔てていても、どこか基本的な部分は同じだったりしないかなあ」
「そういういい加減な認識が危険を招くのよ」
泉は頬を膨らませた。
「林らしい意見じゃないか。人が良くって」
早坂が口を挟んだ。彼は薄笑いを浮かべ、「言葉が通じない以上、コミュニケーションはボディランゲージしか無い。たとえば、森で縄文人に出くわしたら、目を見て親しく接近する。自ら相手の攻撃圏内に入り、自分が相手より下、つまり敵ではないという態度を示す」
「はい」
手を挙げたのは木崎茜である。