【前回の記事を読む】5年生の身体測定で、教師が児童に“あるグラフ”を見せる理由とは。このくらいの時期から、女子の身体に変化があるから…
第一章 高学年の子たちと~分数から命の授業まで~
4. 男女一緒に『いのち』の授業〜子宮ってなあに?〜
③出生からの成長について知り、驚きを持つ
「一年生からの成長については分かりましたが、みなさんは生まれてからどのくらい成長したと思いますか?」
という発問で次の授業に進みます。体重が3000g前後であったことや身長は50cmほどであったことを聞いていた子もいますが、ほとんどの子はあまりよく知りません。
そこで、「生まれたときのことが書かれている母子手帳というのがあって、みなさんの家にはまだ置いてあるかもしれません。家の人にあるか聞いてきて教えてください。でも10年も経っているからもうないかなあ」
と言いました。
翌日には、ほとんどの子が「母子手帳があった」と自分の出生時のことをうれしそうに見せ合ったりしています。
しかし家庭環境の変化で必ずしも全員が残っているとは限りません。そういう子に配慮しないと、学校での学習以前のことが原因で悲しい思いをしなければならない子を生み出すことになります。
しかし『自分』が学習の対象であることで授業は一層活気がありました。自分自身が教材の当事者ですから当然と言えば当然でした。でも頃合いを見て全国平均との比較をしながら授業はできるだけ一般的な成長ということで進めておさめました。
学習に母子手帳が使われたので、出生時のことだけではなくそれ以前についても関心を持つ子がほとんどでした。
このように母体内での成長に関心を寄せるための動機づけにすることこそが、この学習のねらいだったのです。
④ 母体内での成長に関心をもち、概略をつかむ
子どもたちは母子手帳を手にして、いろいろなページをめくっており、関心が高いのがよく分かります。疑問に思ったことは家でも聞いてきます。ここからがこの学習の中心ですから慎重に進めました。
「ぼく、お母さんのおなかにいたときによくおなかを蹴っていたんだって」
「私は動き回っていたらしくて逆子だったんだって。それでずいぶん心配かけたらしいよ」
「お母さんは風邪をひいたときに薬が飲めないからずいぶん大変だったんだって」
「おなかの中には10カ月ぐらいいたらしいよ」
などの会話が弾んでいます。
「そうか、けっこうみんなはお母さんに心配かけていたんだね。でも今はこうして元気にしていられるものね。よかったねえ」
と私も穏やかに会話をしました。そして、
「ところで、みなさんがおなかにいた場所ってなんと言うか知っている?」
と聞きました。
「え、ただおなかの中って言うんじゃないの?」
と、すぐに反応する子もいます。
「実は赤ちゃんにはとっても大事な場所なので特別な名前がついています」
と言うなり、後ろを向いて黒板に『子ども』と書きました。
そして、さらにゆっくりと『宮殿』と続けました。
「読んでごらん」
と子どもたちに声を出して読ませました。