【前回の記事を読む】大地震後に運ばれた建物で、初めて出会った少女は私を見るなり…「私に構わないで!」まるで化け物に遭ったような目で……
問題篇
COUNT 9 エ
私達はお互いのことをよく知らない。九名しかいないので、全員の顔は覚えたものの、名前と顔は一致しない。先程の構ワナイデちゃんの名前も、私の右腕を捻ったジャイアンの名前もまだ知らない。
「これは人狼ゲームみたいなものだと思う」
意味深な発言から始まった。
いくらか垂れ目なところがチャームポイントの女性だ。白とブルーの水玉模様のシャツにベージュのパンツを穿いている。単に可愛いだけではなく知的な雰囲気を漂わせている。
「人狼ゲームってなに?」
他から声が上がった。自ずと人狼ゲームの概要に話が移っていく。
「カードゲームの一種。一人一枚ずつカードが配られるんだけど、カードには職業が書かれてるの。占い師とか霊能者とか人狼とか。そういった職業にはそれぞれ特殊な能力が割り当てられててね。例えば、人狼だったら夜になるたびに村人の中から誰かを指名して襲撃できるの。そうして一人また一人とプレイヤーが脱落していき、最後に村人が残るか人狼が残るかでゲームの勝敗が決まる──そんな感じのゲームよ」
「人狼ゲームみたいなものって、なぜあなたはそう思うの?」
「職業が割り当てられたでしょ、それぞれ。違う?」
各部屋のドアの張り紙のことを指しているらしい。私は「エンジニア」と指定されていた。
かく言う私も人狼ゲームならおおよそ知っている。ところがあいにく人狼ゲームにエンジニアという職業は登場しない。だから人狼ゲームみたいと言われても釈然としない。
「それがなんだか人狼ゲームみたいだなって」
「仮にこれが人狼ゲームみたいだとして……」
いつの間にか人狼ゲームで話が盛り上がりかけたが、女性の一人が椅子から立ち上がってこの流れに歯止めを掛けた。
「ストップ! ちょっとストップ!」
その女性はオレンジ色の派手なトップスを着ていた。髪の毛を長めに伸ばし、明るい色の口紅を塗っている。
目の下のチャーミングな黒子がトレードマークになっている。地方局のキャスターで彼女によく似た美人がいたように記憶している。