もう窓枠に溢れんばかりで、「棺」から「てんこ盛り」状態です。採っても採っても……いや、吸っても吸っても次から次へとエントランスのライトめがけて飛んでくるのです。「ホテルへの無許可侵入は許しまへんで!」という独り言を発しながら、せっせと採集する私でしたが、この光景自体が日本で経験したことがなかったので超〜感動!
(これってむしろホテルを掃除してるようなもんやし、守衛さんとは、めちゃ〈Win-Win〉やん!)と思い始めると、堂々と、また誇らしくなってきました。
しかし、それらを夢中で採集する私の姿があまりにもおかしかったのでしょう。
こんな私の気持ちとは反対に、ホテルのエントランスを行き交う人たちは全員、怪しそうな、不思議そうな眼差し……いや、確実に変人を見る眼差しで私を避けて通っていました。「窓枠の掃除のプロ」に見えていたのかも(笑)。
この時、採集できた主な種類が水生昆虫類だったのですが、これは間違いなくホテルから大通りを渡ってすぐ近くにある大同江(テドンガン)という大きな河川から飛んできたものだと思いました。
時間も忘れて採集していると、あまりにも懸命に採集する姿に感銘を受けたのか、守衛さんが話しかけてきました。
守衛:「君が来る前には毎晩のように大きな黒い楕円形の虫がたくさん飛んできて、掃除するのに大変だったんだよ!」
(何? それって大型のゲンゴロウかガムシのことちゃうん!?)と、私は驚きと憧れの混ざった気持ちで高揚しました。
私:「その虫をどうしたんですか?」
守衛:「ホースの水を使って蹴散らしてあげましたよ! なんてったってエントランスが汚くなって仕方ないからね!」
(ホースで蹴散らした⁈ さっき昆虫の研究をしてるって十分説明したったんやから、そこは嘘でもいいから、逃がしてあげたとか、朝になったら飛んでいったとか言ってほしかったよね〜〜〜!)
内心ガックリしましたが、虫への認識が認識だけに仕方ありません。
「今日は飛んでこないのかなぁ〜……」と私が一人ぼやきながら採集していると、「君が来たから捕まるのが怖くてもう飛んでこないでしょう!」と言われ、その予言どおり滞在期間に「黒い楕円形の虫」は姿を見せてくれませんでした。
しかし、後年ホテルで滞在した際、それが予想した両種であったことをめでたく確認することができました。おまけに日本や韓国では絶滅が危惧されているタガメまでも飛んでくるのです! このエントランスって私にとっては楽園の入口です。
【イチオシ記事】畳の上で変なことをしてくる兄…「息が臭い」と思ってると母がやって来た。…すると兄は慌てて手を離し、部屋から出て行った。
【注目記事】抱き上げられて寝室へ…彼は「泣かないで」と言いながらも、激しく求めてきて…指先で触れられるたび涙が止まらない。
ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp