【前回記事を読む】北朝鮮のホテルで見つけた「虫の死骸」…これが悲劇の始まりだった。死骸に付着している“あるもの”の存在に気づかず…

1回目の訪朝

1 やっと叶った2008年の訪朝

■いざ、エントランスへ!

以前、大学生の頃に訪朝した際、現地の人がカブトムシやクワガタムシさえもそのような認識で驚愕しました。

でも逆に、その話をしてくれた現地の方に、「ここではそうかもしれませんが、日本ではカブトムシを500円とか1000円くらいで普通に売ってますよ!」とゲームで一番強いカードを出した時くらいの勢いで言うと、それこそ信じられない真っ赤な嘘とばかりに、「この世にお金を出してまで虫を買う人がいるわけがない!」と全否定されました(笑)。

もちろんあれから数年しか経っていないので、この時も現地の人の虫に対する認識は変わりありません。「日本から海を越えてわざわざこんな玄関を汚くする虫を採集しに来た? 今夜到着したお客様が? そのために我が国へ? そんな話聞いたことないし、ありえない!」という感じでした。(だからバーチャルじゃなくて、目の前におりますやん!)

まさに、どこへ行っても「私はここへ虫採りに来ました!」、「自分の祖国で虫を採ってみたいんです!」と言っても誰も信じてくれず、毎日昆虫の絵柄のTシャツを着て、その絵柄を指しながら「これを採集しに来たんです! 私は!」と全昆虫愛好家の「総代」みたいな気持ちで全力アピールしていたほどです。

このような状況のため、どんな時でも昆虫採集の目的や意義を説明して納得してもらわないと許可が下りなかったり、不審者と思われてしまうのです。

この時もまずは自然保護の観点や昆虫類の薬用利用、昆虫類の機能を応用した分野の話などを丁重に説明しましたが、何よりも熱意を伝えることが第一です。私の持っていた網や本格的な武装姿を見て、それが嘘ではないと思ってくれたようです。

こんな「珍客」・「変人」もいるのかと許可を出してくれて興味津々な眼差しで私の採集する姿を見ていました。特に吸虫管で虫を吸い取る姿が面白く映ったようです(写真3)。玄関の辺りを丁寧にくまなく探してみると、灯りをめがけて小さなコガシラミズムシなどの水生昆虫類がたくさん飛んできていました(‘写真4)。

写真3 エントランスで吸虫管を使って採集
写真4 飛来したコガシラミズムシの一種