Chapter4 探検隊
リーダーの林が探検隊に加わるのは「もし縄文人に出くわした時に、代表者として対応するために」という早坂の意見による。メンバーのほとんどが「務まるの?」という思いでいっぱいだったが、早坂の説得に押し切られた。
「みんな林のことを誤解している。彼の特長は、このぼんやりした感じ、どんな相手にも『敵ではない』と思わせる、平和な波長だよ」
メンバーから笑い声が起きた。務まるかどうかは議論されず、流れのままに決定した。
さて、この時岩崎と沼田は、早坂が全員を相手に意見をきり回す横顔を見て、野心めいたものを感じた。だいたいこのところ、早坂の存在感はいやが上にも増している。どんな会議でも、メンバーは以前より積極的に意見を言うようになったが、反感や孤立を恐れてあからさまな反論は控えがちだった。
そんな中、早坂は圧倒的な頭の良さと弁舌で他の意見ひっくり返し、自説を通すことがたびたびあった。毎回並外れた説得力で、意見を否定された者さえすがすがしさを感じるほどである。